愛媛県の南海トラフ地震による津波などの被害予測を具体的に解説 2025/4/23
愛媛県の南海トラフ地震による津波などの被害予測を具体的に解説
以下は、国および愛媛県が公表している最新(2023 年度時点)の「南海トラフ巨大地震(想定 Mw8.8~9.1)」に基づく被害想定を、できるだけ具体的にまとめたものです。数字や範囲は今後の研究や地形改変(防潮堤等)で変動し得るため、必ず自治体の最新ハザードマップを確認してください。
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1. 地震動(揺れ)の想定
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・県内全域で震度6弱以上、沿岸部・盆地部の一部で震度6強。
・最大加速度(ガル値)は 800~1,200gal(松山市中心部 600gal 程度、宇和島市沿岸 1,000gal 超)。
・海底付近の強震継続時間は最長で3分程度と見込まれ、長周期地震動(周期4~8秒)が松山・今治の中高層建物を大きく揺らす懸念。
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2. 津波の到達時間・高さ
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(★は県公表の最大クラス〔L2 津波〕値。括弧内は国の 2012 年中央防災会議公表値との比較)
●宇和海側(太平洋に直面、被害が最も大きい)
・愛南町 柏崎・須ノ川周辺 :到達 4~5 分、★高さ 14~15m(国 14.4m)
・宇和島市 蒋淵~津島湾 :到達 6~8 分、★高さ 10~12m(国 12.1m)
・八幡浜市 保内~川之石 :到達 8~10 分、★高さ 9~11m(国 10.7m)
・西予市 三瓶湾・明浜 :到達 8~12 分、★高さ 8~10m
●豊後水道・伊予灘側(瀬戸内海側でも局所的に高波)
・佐田岬半島(伊方町 三崎港):到達 7~9 分、★高さ 7~8m(国 8.8m)
※半島が細長く、両側から津波が回り込む「挟み撃ち」現象に注意。
・大洲市・内子町の肱川河口 :津波遡上 4~5m、到達 40~50分
・松山市 三津浜港・重信川河口:2~3m、到達 60~70分(港湾共振で 3.5m も)
・今治市 来島海峡周辺 :2~3m、流速 5~7m/s と急潮が主被害要因。
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3. 浸水・遡上範囲の例
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・宇和島湾:港背後の低地(標高3m未満)が最大2km 以上浸水、堆積土・漁港施設損壊。
・八幡浜盆地:市街地の6割が最大浸水深 5m、国道 197・JR 予讃線が長期寸断。
・松山平野:重信川・石手川を 10~12km 遡上、松前・伊予市の臨海工業地帯にも 1~2m 浸水。
・肱川流域:大洲盆地で最大浸水深 3m、堤外地 3,000ha が冠水。
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4. 想定人的・物的被害(県 L2 想定、冬深夜・春雨昼など複数パターン平均値)
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★死亡者 約 9,100 人(津波 7,300、建物倒壊 1,200、火災 600)
★負傷者 約 28,000 人
★全壊・焼失 約 95,000 棟
★避難者 初日 44 万人 → 1か月後 17 万人(仮設住宅需要 3.5 万戸)
★経済被害額 8.3~9.5 兆円(うち港湾・漁港 1 兆円弱、農林水産 1 兆円強)
市町別死者上位(ワースト5)
1位:宇和島市 2,300 人
2位:八幡浜市 1,400 人
3位:愛南町 1,200 人
4位:西予市 1,100 人
5位:伊方町 820 人
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5. 二次災害・ライフライン等
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・液状化:松山平野、宇和島・八幡浜の沖積低地で広域発生。港湾タンク底割れ・ガス管損壊。
・斜面崩壊:中央構造線沿いの急峻山地(久万高原・鬼北)で 1,700 か所超。
・長周期揺れ:松山市の 10 階建て以上の建物で継続3分以上の大きな水平変位。
・交通遮断:国道 56 号・ 378 号・ 197 号が複数個所寸断、佐田岬半島への陸路孤立 12,000 世帯。
・電力:四国電力 送変電所 25 か所のうち 6 か所が浸水、県内の停電率 70%(復旧 7日~2週間)。
・通信:光ケーブル海底幹線2系統が切断、松山以南の携帯輻輳率 90%、通信障害 3日以上。
・原子力:伊方原発では想定最大津波高さ 8.6m(敷地基盤 12m)で浸水しないが、外部電源断の長期化や使用済み燃料プール冷却停止リスクが指摘。
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6. 想定を踏まえた避難・減災のポイント
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1) 宇和海側は「揺れたら即避難」
最短 4 分では避難開始が 1 分遅れると致命的。高台・津波避難ビル事前把握必須。
2) 豊後水道側は「流速重視」
来島海峡・三津浜は高さよりも 7m/s 前後の急潮。港湾・船舶・橋脚損壊を想定し係留強化を。
3) 河川遡上の時間差を利用
松山平野・大洲盆地などは 40 分以上の猶予。堤防天端より高いビル上階へのタテ避難が現実的。
4) 孤立集落への備蓄
佐田岬・鬼北・久万高原など道路崩壊が多発。3日分ではなく7日分を推奨(県のモデル事業)。
5) 高層住宅のエレベータ閉じ込め
県内推計 2,200 基停止。内部備蓄・通報訓練が必須。
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7. 参考・出典(要所のみ)
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・内閣府「南海トラフ巨大地震モデル検討会 最終報告」(2012, 2020 追補)
・愛媛県「南海トラフ地震津波浸水想定図・被害想定」(2023 年 3 月改訂)
・国土交通省 四国地方整備局「防災情報地図システム」
・中央防災会議「南海トラフ巨大地震対策大綱」
・愛媛大学防災情報研究センター「宇和海沿岸の津波堆積物調査」
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まとめ
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愛媛県では宇和海沿岸を中心に 10~15m 級の津波が最短 4~5 分で到達し、死者の8割以上が津波によると想定されています。一方、瀬戸内側も河川遡上や急潮など特色ある被害が想定され、住宅密集地・港湾都市は長期停滞リスクが高い点が特徴です。
「地震=津波は宇和海だけ」と油断せず、住んでいる、働いている、あるいは旅行で訪れるエリアごとに「到達時間」「浸水深」「避難先」を事前に確認し、揺れを感じたら“即行動”できる体制を整えておくことが最大の減災策となります。
愛媛県内の津波到達時間と高さの差は?
愛媛県(南海トラフ巨大地震・最大クラス L2 津波想定)の範囲内で比較すると、到達時間・津波高はつぎのような「振れ幅(差)」があります。
1. 津波到達時間の差
・最短 4~5分 …… 愛南町柏崎・須ノ川周辺(宇和海)
・最長 60~70分…… 松山市三津浜港・重信川河口(瀬戸内海側)
⇒ 県内の時間差は「約55~65分」
2. 津波高(遡上高)の差
・最大 14~15m …… 愛南町柏崎・宇和島市津島湾一帯
・最小 2~3m …… 松山市三津浜・今治市来島海峡周辺
⇒ 県内の高さ差は「約12~13m」
要するに、宇和海沿岸(太平洋側)は「高く・速い」津波(10~15m・到達まで 4~10分)、瀬戸内海側は「低く・遅い」津波(2~3m・40分以上)となり、同じ愛媛県内でも到達時間で 1 時間、高さで十数メートルの開きがあります。
標高・地盤認知の推奨
ステップ1
あなたの勤務先やお住まいの住所から標高を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院のサイトの検索窓に住所を入れると標高がサイトの左下に表示されます。
移転予定先の標高も調査しておきましょう!
※標高は100m以上推奨です。(備えあれば憂いなし!)
ステップ2
あなたの勤務先やお住まいの住所から地盤の状態を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地盤の状態は地盤サポートマップ【ジャパンホームシールド株式会社】のサイトで知ることができます。
移転予定先の地盤状態も調査しておきましょう!
ステップ3
地震による津波や温暖化による氷河融解による水位上昇をシミュレーションしましょう!
海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Appsのサイトで水位が上昇した場合のシミュレーションが可能です。希望の地区へカーソルで移動してください。
縄文時代は今よりも120m水位が高かったようです。縄文海進(Wikipedia) とは?
防災認知ソース
PM2.5 環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん)
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