愛知県の南海トラフ地震(東海地震、東南海地震、南海地震)による津波などの被害予測を具体的に解説 2025/4/24
愛知県の南海トラフ地震(東海地震、東南海地震、南海地震)による津波などの被害予測を具体的に解説
【はじめに】
以下は国・愛知県が公表している被害想定(主に①中央防災会議 2012 年「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」、②愛知県 2020 年「南海トラフ地震の被害想定〈第2次報告〉」等)を整理したものです。実際の被害は震源域・潮位・気象条件・住民の避難行動などに大きく左右されるため、あくまで「想定上の最大級(L2想定)」である点をご承知ください。
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1.想定地震の概要
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・震源域 :駿河湾~日向灘にまたがる南海トラフ全域(東海・東南海・南海の3連動)
・マグニチュード:M8.9~M9.1
・震度分布:県内の平野部でも震度6強、渥美半島・知多半島・西三河の一部で震度7
・揺れの継続:強い揺れが1分前後続くと想定
・発生間隔 :平均 90~150 年(前回1944東南海‐46南海から 80 年超経過)
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2.津波の基本特性(最大クラスL2想定)
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1) 津波高(第一波の最高到達高=地表面からの高さ)
– 田原市・伊良湖岬 :19~22m
– 田原市赤羽根(太平洋岸):15~18m
– 南知多町師崎 :13~15m
– 西尾市一色・吉良 :10~12m
– 半田市・常滑市沿岸 : 6~ 8m
– 名古屋港(金城ふ頭付近): 4~ 5m
– 木曽川・庄内川河口部 : 5~ 6m(河川遡上)
2) 津波到達時間(第一波が陸地に達するまで)
– 伊良湖岬・赤羽根海岸 : 10~15 分
– 南知多町 : 20~30 分
– 西尾市・碧南市 : 30~40 分
– 名古屋港 : 50~60 分
– 名古屋市内河川域 : 60~80 分
※「ゆとりのある避難時間」とは言えず、沿岸部では発災直後の行動が生死を分ける。
3) 津波浸水の広がり
– 浸水面積:県全体で約 150~160 km²
田原市 42 km²、豊橋市 26 km²、蒲郡市 11 km²、 西尾市 15 km²、
碧南市 7 km²、南知多町 12 km²、常滑市 7 km²、名古屋市 23 km² など
– 浸水深:「5m超」エリアが田原市・南知多町に集中。三河湾・伊勢湾奥は 1~3m。
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3.人的・建物被害(愛知県「冬・深夜・満潮・低避難率」=最悪条件)
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●死者 23,700 人
内訳:津波 19,700(約 84%)/建物倒壊 3,080/火災 840
●重軽傷者 約 61 万人
●行方不明 約 5,300 人
●建物被害
‐ 全壊・焼失 45.7 万棟(うち揺れ倒壊 33.4 万、火災 12.3 万)
‐ 半壊・一部損壊 73.9 万棟
‐ 浸水被害(床上床下)27.1 万棟
●経済被害
直接被害 21.5 兆円+生産停止等の派生損失 20 兆円規模
(自動車・航空機・工作機械など中京圏の供給網が長期停止するケース)
◆条件を「夏・昼間・高避難率」に変えると死者は 7,400 人程度へ減少すると試算。
→ 迅速な避難が被害軽減に極めて効果的であることを示す。
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4.ライフライン・インフラ影響
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・停電 :最大 370 万戸(県内ほぼ全域)/復旧まで1週間~数か月
・上水道断水 :326 万戸、復旧に2週間~3か月
・都市ガス停止:151 万戸、復旧に1~2か月
・携帯・固定電話:9割が輻輳・局舎被害で不通、衛星・臨時局を活用
・道路寸断 :高速 23 ルート中 16 が通行止め、国道・県道の約6割で通行障害
・港湾 :名古屋港・衣浦港・三河港の岸壁沈下、液状化、コンテナ転倒
・鉄道 :東海道新幹線・在来線とも橋梁・軌道変位で長期運休
・医療機関 :基幹病院 243 施設のうち 40%が機能停止、孤立病院多数
・避難者想定 :ピーク時 190 万人、うち 60 万人が1か月以上の長期避難
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5.市町別の主な特徴(抜粋)
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★田原市(渥美半島)
・津波高 20m級、10 分で波到達。半島南岸の低地部は壊滅的。
★豊橋市(太平洋沿岸・豊川河口)
・津波高 12~15m。豊川河口から 6~7 km 遡上、国道23号付近まで浸水。
★南知多町~美浜町(知多半島南部)
・津波高 13m、到達 20 分。海岸段丘上を除きほぼ全面浸水。
★西尾市・碧南市・刈谷市沿岸(矢作川・境川低地)
・湾内だが津波高 10m前後、広範囲が 2~5m浸水。工業団地被害甚大。
★名古屋市(港区・南区・熱田区・中川区)
・津波高 4~5m、庄内川・新川・木曽川を 5~10 km 遡上。港区西部は 3~4m浸水。
・長周期地震動で高層建物の家具転倒・エレベーター閉じ込めが多数懸念。
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6.被害軽減のポイント
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1) 揺れを感じたら即時高台・鉄筋3階以上へ「垂直避難」。
伊勢湾奥でも 40~60 分しか猶予がない。
2) 避難情報の「事前周知システム」利用(愛知県防災アプリ「あいち防災」など)。
3) 耐震化率向上(木造住宅 75%→ 90%へ)、家具固定、感震ブレーカーの普及。
4) 企業・自治体のBCP、燃料・食料7日分備蓄、在宅避難想定。
5) 広域連携:三重・岐阜・長野・石川など隣県との物資輸送ルート確保。
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7.参考文献
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・中央防災会議「南海トラフ巨大地震対策検討WG 報告書」(2012.8, 2013.3)
・愛知県「南海トラフ地震の被害想定(第2次報告)」(2020.3)
・国交省 中部地方整備局「伊勢湾・三河湾における津波高・浸水想定」(2021)
・気象庁「南海トラフ地震臨時情報に関する運用ガイドライン」(2022)
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【まとめ】
最大クラスの南海トラフ巨大地震では、愛知県は「震度7+津波最大 20m級」という複合被害を受け、最悪条件では約 2.4 万人の犠牲と 20 兆円超の経済損失が想定されています。ただし「発生後ただちに避難する」「住宅を耐震化する」といった備えにより、死者数は十分に1/10以下まで減らせることも同時に示されています。日頃からハザードマップの確認・避難訓練・備蓄を行い、自助・共助で被害を最小化することが不可欠です。
津波到達時間はどのくらい?
場所によって大きく異なりますが、 愛知県のL2想定(最大クラス)の場合、 目安は次のとおりです。
・伊良湖岬・田原市赤羽根海岸 … 10~15 分
・知多半島南端(南知多町・師崎)… 20~30 分
・三河湾奥(西尾市・碧南市周辺)… 30~40 分
・名古屋港 … 50~60 分
・名古屋市内の河川沿い低地 … 60~80 分
つまり、太平洋側の外海に面した区域では「揺れを感じたら即、避難開始」が必須で、伊勢湾奥でも1時間弱しか猶予はありません。
標高・地盤認知の推奨
ステップ1
あなたの勤務先やお住まいの住所から標高を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院のサイトの検索窓に住所を入れると標高がサイトの左下に表示されます。
移転予定先の標高も調査しておきましょう!
※標高は100m以上推奨です。(備えあれば憂いなし!)
ステップ2
あなたの勤務先やお住まいの住所から地盤の状態を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地盤の状態は地盤サポートマップ【ジャパンホームシールド株式会社】のサイトで知ることができます。
移転予定先の地盤状態も調査しておきましょう!
ステップ3
地震による津波や温暖化による氷河融解による水位上昇をシミュレーションしましょう!
海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Appsのサイトで水位が上昇した場合のシミュレーションが可能です。希望の地区へカーソルで移動してください。
縄文時代は今よりも120m水位が高かったようです。縄文海進(Wikipedia) とは?
防災認知ソース
PM2.5 環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん)
移住・住宅・移住先の仕事
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